戦後、アメリカの「結婚」はここまで変わった 強制収容から同性婚が認められるまで

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第2次大戦が終わって私たちがロサンゼルスに戻ったとき、アメリカは依然人種差別的で、人種的に分離した国だった。

たとえば、私の住んでいるカリフォルニア州を含めて多くの地域で、人種的マイノリティが白人と結婚することは認められていなかった。当時これは、まったくもって自然なことであり、議論になることもなかった。多くの人種的マイノリティはこのことを黙って受け入れ、マジョリティである白人や、異人種との結婚からは距離を置くべきだと考えていた。

そして最高裁判所が動いた

これについて法は「中立的」な立場だった。つまり、異なる人種間の結婚を妨げることは、平等を守る観点からも、法律の平等的な適応という観点からも法に反していない、と主張していたのである。

もちろん、このような法律の背後にある本当の理由は、人種的マイノリティを抑えこみ、彼・彼女らは白人と結婚する権利は持っていない、ということを明らかにするということだった。法の擁護者たちは聖書を引用し、「もし神が人種を混ぜようとしたのなら、海で分かつことなく同じ場所に置いていただろう」と主張していた。米国議会に至っては、異人種間結婚によって生まれた子どもは差別や嘲笑の対象になるのは明らかなので、子どものためにも異人種間結婚は避けるべきだと、堂々と言い放っていたのである。

しかし、1967年のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアによる公民権運動によって、これらの法律は最高裁判所の判断においてすべて無効となった。

これは少なくとも2つの点で重要だった。一つは、2人の人間のもっとも深い愛情表現である結婚について、自由を追求するうえで不可欠であり、理由なしに政府が剥奪することのできない基本的な権利としたことだ。

二つ目は、その子孫も含めた異人種間カップルに対する偏見や憎しみは、愛する人との結婚を妨げる法律を作る正当な理由にはならない、としたことである。最高裁は、これらの法律は差別に根差したもので、マイノリティに対する偏見によって動かされていると認めたのだ。

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