漂流するJVCケンウッド、止まらない縮小均衡

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人事の決定権も、依然として会長が握る。事業会社および関係会社の役員および監査役の処遇については、会長に決裁権がある。取締役会を通さずとも、会長の一存で決めることができるのだ。執行役員と事業会社の役員については、事前に会長へ推薦書を提出する必要がある。

現在は、役員の過半数を河原が外部から呼び寄せた人物で構成されている(表)。この環境で、河原を上回る存在感を発揮するのは不可能だろう。ワンマン経営は、時間が限られた構造改革では効果を発揮する。うるさ型の生え抜き役員を上回る数を、外部から役員として呼び込んで会議でやり込めるからだ。だが、それも行き過ぎれば、「仲良しクラブ」に陥りかねない。

10月からCTO(最高技術責任者)として技術部門を取りまとめる柊元宏は、現在74歳で補聴器を付けている。河原自ら引っ張ってきた人物で、「新しい技術を発見し育てるプロセスは、ベテランじゃないと無理。新技術を発明してもらうわけではない」と説明するが、現場からは困惑の声が上がる。社外取締役は二人とも70歳以上で、株主総会では「役員が高齢すぎないか」との質問が出たほどだ。


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