部下の「辞めます」で優秀な上司も降格になる時代 「辞めたら、また採ればいい」という感覚の弊害

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入社初年度の年収は募集の際に提示する年収と近似しますが、マイナビの調査によると、初年度の年収の平均額は次のように推移しています。

2018年:428.2万円
2019年:437.6万円
2020年:450.5万円
2021年:453.2万円
2022年:454.2万円
2023年:456.6万円
『離職防止の教科書――いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』より引用

たった5年で28.4万円もの増額です。

今は売り手市場(求職者よりも企業の求人数のほうが多く、求職者に有利な状況)の状況にあり、生産年齢人口がさらに減少することを考えると、今後も売り手市場の状況は続き、募集の際の提示額は、さらに増加すると見込まれています。

また、募集の際の提示額を上げると先輩社員の年収を上回ってしまうため、先輩社員の給料を上げてから、募集の提示額を上げる会社も出てきています。 

そのため、今、社員に辞められた場合、その穴を埋めるためには、以前より高い年収を提示しなければ採用が難しくなっているのです。

また、募集の提示年収を上げるために、既存社員の給料も上げなければならなくなるおそれすらあるのです。

部下が辞めないマネジメントスキルを磨く

こういった背景から、部下の離職がもたらす会社へのダメージは、年々大きくなっています。そして、今後もさらに大きくなっていくでしょう。

そのため、会社としても「部下が辞めたなら、また採ればいい」という感覚で複数の部下を辞めさせてしまう社員を放置するわけにはいかなくなっているのです。

それはつまり、部下が辞めないマネジメントができるかどうかが、今後、評価に大きく影響するということでもあります。

藤田 耕司 経営心理士、税理士、心理カウンセラー

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ふじた こうじ / Koji Fujita

一般社団法人日本経営心理士協会代表理事、公認会計士、税理士、心理カウンセラー。これまで1200件超の経営相談を受け、心理学と会計を活用した経営改善を行う。その経験から経営者の心理、部下の心理、顧客の心理を分析し、経営心理学として体系化することで経営改善の成果を高める。また、経営心理学を学ぶ「経営心理士」の資格を創設。経営心理士講座の受講生はのべ5000名を超え、その内容は大手企業や省庁でも導入される。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社 日本、台湾、韓国の3カ国で出版)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)。

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