部下の「辞めます」で優秀な上司も降格になる時代 「辞めたら、また採ればいい」という感覚の弊害
今、多くの企業が人手不足に悩み、現場が回らず、事業縮小、あるいは廃業する事例が増えており、人手不足が原因の倒産は過去最多を更新しています。
人手不足の原因は、人が採れないことと、人が辞めることです。
この点、少子化などの影響により、採用が難しくなっている以上、まずは離職を防ぐことが求められます。
ただ、その意識を持てていない上司は複数の部下を辞めさせ、会社を衰退に導いています。それにより、部下の離職の原因となった上司に対する会社の対応が変わりつつあります。
そこで、経営心理士として1200件超の経営改善を行い、離職防止の指導も数多く行ってきた、一般社団法人日本経営心理士協会代表理事・藤田耕司氏の著書『離職防止の教科書――いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』から一部を抜粋・再編集し、上司として知っておくべき人手不足、採用難の現状と会社の対応の動向についてお伝えします。
部下の離職によって降格となった人たち
「彼は、仕事はできる人間なんです。でも、今、これだけ人が足りてない中で人を辞めさせるようなことをされたら、厳しく対応せざるを得ないです」
ある運送業の会社で、執行役員が降格となりました。
その理由は、部下がミスをするとかっとなって怒鳴りつけるなど、部下に対する当たりがきつく、それが原因で複数の部下が辞めたためです。
「昔は仕事を取りたかったから、仕事を取ってくる社員を高く評価してました。でも今は、仕事は取れるけど人が足りない。今うちに一番必要なのは人なんです。だから、仕事を取ってくる社員でも人を辞めさせる社員は、評価を下げざるを得ないです」
また、別の会社では営業部長が新人の身だしなみを改めるよう何度か指導したものの、一向に改めないため、きつく叱る必要があると判断し、新人を叱りました。
その結果、新人が出社しなくなり、そのまま退職しました。その責任を問われ、営業部長は降格となりました。
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