今回のコラムでは、米国の利上げに大きく関係する米国の労働市場が、2008年のリーマンショック後、どんな動きをたどっているかを分析する。あわせて、日本の金融政策と若者の草食化の関係についても触れてみたい。
FRBは利上げに直結する「労働市場」をどう見ているのか
すでに米FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、2015年内に利上げに踏み出すメッセージを明確に市場に伝えている。その中で、7月に開催されたFOMC(米公開市場委員会)の声明文では、労働市場についての判断が上方修正された。
とはいえ、失業率はFRBの見通しである5%近傍に着実に改善する一方、7月末に発表された統計では賃金がほとんど伸びていないことが判明するなど、労働市場が十分回復しているか疑念を生じさせる兆候も残っている。
FRBが9月に利上げを始める可能性は高まっているが、実際には微妙なところである。
慎重なFRBは、インフレ率の動向だけではなく、インフレのトレンドに直結する労働市場の需給動向を注意深く観察している。賃金など幅広い指標の動きを総合的に判断しながら、利上げ開始の是非に頭を悩ませているようだ。
実際、賃金関係だけでなく、米国の労働市場についてはさまざまな指標があり、それらをどう解釈するかが、FRBの政策や金融市場の見通しに直結する。
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