2012年11月半ば以降、大幅な株高と円安が進む、いわゆるアベノミクス相場が始まって約1年が経過した。アベノミクスとは、端的に言えば「3本の矢」であり、「大胆な金融緩和政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」を指す。だが、マーケットは、その中でも、日本銀行の金緩和政策の強化に大きな反応を示した。
「アベノミクス=資産バブルのリスク」は本当か
筆者は、金融市場に近い立場から、12年秋までの民主党政権下においても、日本銀行の金融政策強化が必要であると考えていたし、レポートなどでも何度も指摘してきた。その点からすれば、安倍政権誕生をきっかけに実現した、日本銀行の金融緩和強化は、ようやく待ち望んでいた政策が実現したように思えた。「デフレ」という日本経済が抱える最大の病気が治癒する期待が、ようやく持てるようになったからである。
一方で、アベノミクスについては、筆者のように評価する見方ばかりではなく、批判が多いのも事実だ。「金融緩和を強化しても、資産バブルを引き起こすだけ」などの見方が根強い。批判する方からの視点に立てば、12年11月8000円台にあった日経平均株価が1年で約70%も上昇し、株式市場という資産価格が極端に動いたことは、「資産バブルのリスクが高まっている」ように見えるのかもしれない。バブルが生じていることで、かえって経済活動が不安定になる、という批判をしたいのだろうか。
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