スペースXが狙う「100万人火星移住」実現可能か? 成功のカギを握る"3つのもの"とは?

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火星には北極・南極に「水の氷」があるとわかっていますが、基地をつくるには寒すぎるため、人が利用しやすい形で大量の水が集中している場所がないか、いまこの瞬間にも探査機が探しまわっています。

基地をつくる技術開発、酸素をつくる工学実験、水を探す科学研究、現地調達に向けた取り組み……。こうした挑戦は世界中で続けられており、月・火星移住は現実味を帯びてくることになります。

「火星都市計画」実現に向けた問題点は…

いざ、火星に移住できるとなった場合、倫理的な側面からも考えるべきことがあります。

火星からすると地球人は外来種です。地球から持ち込まれた菌が、そこにいるかもしれない火星の生態系を壊さないようにする必要があります。

その対策のひとつとして、NASAやJAXAなどの宇宙機関では、火星に着陸する探査機を必ず滅菌処理することにしています。

さらに、人類が月や火星に移住し、そこで子どもが生まれるようになると、「重力が地球より弱い環境で無事に育つのか」という医学的な問題も出てきます。人類は「ホモ・サピエンス」とは別の新しい種に進化していくのかもしれません。

はたして、そうした子は、「地球人」でなく「月人」や「火星人」になるのでしょうか?

どうすべきかルールが必要になります。そのほかにも、「月や火星は誰が統治するのか」「どんなルールに従うべきなのか」といった政治的・法律的な問題も考えなくてはなりません。

本格的に月・火星移住を進めるには、技術的な問題だけでなく、多面的に解決すべき問題があるということです。

世界には、火星に都市をつくる計画を掲げている組織があります。

スペースX社は宇宙船「スターシップ」で火星に人を運び、将来的には100万人の火星都市をつくろうとしています。さらに、UAE(アラブ首長国連邦)は、2117年までに人口60万人の火星都市をつくるプロジェクトを進めています。

火星移住には課題がたくさんありますが、諦めない国や組織がある限り、いつかは実現するでしょう。

こうした話は、SFではなく、日に日にリアリティを増してきます。月や火星は、それほど身近な天体になってきているのです。

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。

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