逆に、後に向かって発射した光は後ろの壁にぶつかるまでに、車両の半分よりも短い距離しか進んでいないことがわかるはずです。後の壁も常に前方に向かって移動しているからです。
しかし、もし光速が常に秒速約30万キロメートルだとしたら、光は前にも後にも同じ速度で、前には電車の半分よりも長い距離を、後には電車の半分よりも短い距離を進むということになります。
その結果、地上の人から見ると、前と後に向かって同時に発射された2つの光のうち、前に向かって発射された光よりも、後に向かって発射された光のほうが、早く壁にぶつかるという結論になるのです。
私たちは「浦島太郎」になれるのか?
アインシュタインは、これらの奇妙な現象が、数学的に矛盾なく起こり得ることを示しました。そして、電車の中の人から見た結論も、地上の人から見た結論も「ともに事実であり、どちらも正しい」としたのです。
これまでずっと、時間の進み方は、誰にとっても同じであると考えられてきました。
ところが、実は時間は絶対的なものではなく、見る人の立場によって伸びたり縮んだりするものであり、また、ある人にとっては同時に起こることが、別の人にとっては同時に起こらない場合があるというのです。
「時間とは相対的なものであり、これは時間の本質的な性質である」と、アインシュタインは結論づけました。
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