相対性理論なら「人が100倍長生きできる」しくみ 電車の実験で検証、車内と外で時が変わるワケ

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あなたは、一定の速度で走る電車に乗っているとします。そして、電車の床から真上に向けて光を発し、それを天井で反射させて、元の位置でまた計測する実験をしたとします。このとき、光の発射から計測までの間に、どれだけ時間がかかるかを考えてみましょう。

計算を簡単にするために、光の速度(光速)が秒速4メートルだったとして、高さが2メートルの電車でこの実験をしたとしましょう。

すると、光は床から天井までの往復で4メートル進んだわけですから、かかった時間は1秒だということになります。ここには何の不思議もありません。

電車の中と外で変わる「光の軌跡」

一方で、この実験を地上にいる人が静止した状態で見ているとします。その人から見た光の軌跡は、電車が動いていることを反映して、完全に垂直方向ではありません。

具体的には、床から発射された光は、はじめに電車の進行方向へ斜め上に向かって進んでいき、天井で反射されたあとは、電車の進行方向の斜め下に向かって進んで、最終的に床で計測されるという軌跡をとるはずです。

つまり、光が発射されてから計測されるまでに進んだ距離は、電車の高さの2倍である4メートルよりも長いということになります。

もし光速が、この地上にいる人から見ても同じ秒速4メートルだとしたら、これは光が発射されてから計測されるまでの間の時間は、この人にとっては1秒より長いということを意味します。なぜなら、一般に物体の進んだ距離は、その定義から、「物体の速度×時間」で与えられるからです。

つまり、もし光速が誰から見ても同じだということを受け入れたなら、時間の進み方は動いている人と止まっている人で異なるという結論を受け入れなければならないのです。

これだけでも十分不思議ですが、光速が誰から見ても同じだということは、「ある人にとっては、2つの出来事が同時に起こったように見えても、別の人にとっては、時間がずれて起こっているように見える場合がある」という結論も導きます。

このことを理解するために、また先ほどと同じように、あなたは、一定の速度で走る電車に乗っているとします。そして今度は、電車の車両の真ん中に立ち、前と後に向かって、同時に光を発射するとします。

すると、車内にいるあなたは、前に向かって発射した光と、後に向かって発射した光がそれぞれ、同じスピードで前にも後にも同じ距離だけ進み、前後の壁に同時に届くと結論するでしょう。

一方で、この実験を地上にいる人が静止した状態で見ているとします。その人は、前に向かって発射した光が壁にぶつかるまでに、車両の半分よりも長い距離を飛んでいることがわかるでしょう。

なぜなら、電車は走っているため、地上にいる人から見れば、前の壁は前方に向かって移動しているからです。

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