「全国630の商店街」巡って撮り続けた"昭和の姿" 休日に各地の商店街を訪ねる会社員の日常

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「趣味でもPDCA(計画・実行・評価・改善)を回してより効率よく成果を出そうとするところは、仕事で学んだことそのままですね。読者の反応を見ながら写真を選ぶときには、マーケティングっぽいことしてるな、と感じることもあります」

忙しい日々の中で、どのように商店街巡りの時間を捻出しているのか。

独身のころは休日のほとんどを商店街巡りに費やし、年間80カ所ほど訪ね歩いていたと語る山本さん。結婚して子どもが生まれてからは、その頻度は月1程度に減っている。

それでも、仕事では「人の1.3倍」働き、就業時間内になるべく仕事を終わらせることを心がけているという。

「与えられた仕事にプラスして、組織全体がもっと楽になるようなことを考えて提案し、どんどんやることを意識しているんです。仕事の密度が上がると、休みが取りやすくなり、自分の時間を捻出することもできます」

店員さんと話すことでドラマが垣間見れる

商店街巡りに話を戻そう。山本さんが好きなのは、古い店舗が通路の両側にずらりと並ぶ、市場のような商店街だ。

「『立石仲見世』がそうですね。維持の大変さや延焼防止の観点から屋根を撤去する商店街が増えていますが、ここは屋根があるのがいい。屋根があると、商店街の密度は3倍増しになると思っています。

雑二ストアー(東京都豊島区)も好みの商店街です。2022年に閉業しましたが、いまも建物は残っています。営業していたころの写真を見ると、細い通路の両側に商品の棚がズラリと並んでいて白熱球が灯っている。こういう通路を歩いていると、テーマパークのアトラクションを進んでいるときのようにゾクゾクしますね」

山本有 商店街 立石仲見世
東京都・豊島区の雑二ストアー(写真:山本さん提供)

商店街では、できるだけお店に入って買ったり食べたりするようにしている。忙しそうでなければ、お店の人に話しかけたりもする。散策しているだけでは見えないドラマが垣間見えることもあるからだ。

その好例が、「外苑マーケット」(東京都新宿区)である。

国立競技場に隣接していた都営住宅の1階にあった商店街で、昭和の東京オリンピックの際の開発で誕生したが、令和の東京オリンピックに伴う国立競技場建て替えで住民や店主は立ち退きを余儀なくされた。山本さんは閉店直前の2015年12月に訪れている。

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