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「全国630の商店街」巡って撮り続けた"昭和の姿" 休日に各地の商店街を訪ねる会社員の日常

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  • 横山 瑠美 ライター・ブックライター
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山本さんの商店街巡りの原体験は、小学生時代を過ごした和歌山市にある。1980年代の和歌山市は、住友金属工業(現・日本製鉄)の企業城下町として、商店街などさまざまな施設でにぎわっていた。

「私が住んでいたところから電車で10分のところに商店街があって、親が毎週のように連れていってくれました。私にとって商店街はテーマパークのような楽しい場所でしたね。商品や物が所狭しと並ぶゴチャゴチャ感、行ったら何かしらおもしろいものがあるところに引かれていたんだと思います」

中学生になると、学区内にあった古い市場「西ノ庄デパート」に通い、たこ焼き屋のおばちゃんの話を聞いたり写真を撮ったりするように。

和歌山県・和歌山市の西ノ庄デパート(写真:山本さん提供)

その「取材」の成果を学校の自由勉強帳に書いたところ、担任の先生が職員室で回し読みするほどおもしろがってくれた。それがうれしくて、ますます商店街にハマっていったという。

建築の専門家やクリエイターからも熱視線

そんな商店街への熱い思いが再燃したのは2004年。日暮里駄菓子問屋街(東京都荒川区)が近く閉鎖されると知り、週末に撮影に行ったのがきっかけだった。

以来、山本さんは古い商店街の写真を本格的に撮るようになる。2010年にはブログ「香ばしい町並みブログ」を開設。次第に読者が増え、毎回コメントをくれる「固定客」もついた。

平日は会社員、休日は商店街を巡る山本有さん。浜マーケットにて(写真:山本さん提供)

ブログの読者で最も多いのは、山本さんより10~20歳上の世代で、昭和の町並みを懐かしむ人たちだという。

次いで多いのは、古い商店街を好きな人たち。その次に多いのは、内装業に従事する人、建築が専門の大学教員や外国人の研究者、ジオラマ作家やアニメの背景画を手がけるクリエイターなど。

山本さんの写真はノスタルジーを呼び起こすだけでなく、古い商店街を記録した貴重な資料にもなっているのだ。

「『レトロなものはお金を出せば買えるが、古い町並みはもう写真でしか見られない。あなたが撮った何気ない風景をもっと見たいという人は多いと思う』と言われたことがあります。それほど商店街のある風景は当たり前すぎて、撮っている人がほとんどいない。私が商店街の写真を撮り続ける理由は、そこにあります」

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【商店街巡りのこだわり】

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