「全国630の商店街」巡って撮り続けた"昭和の姿" 休日に各地の商店街を訪ねる会社員の日常

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商店街巡りの際、山本さんは事前の調査にかなりの時間をかける。

「調査8割、実行2割です。『全国の商店街リスト』のようなものはないので、一から調べる必要があります。ネットがないころは電話帳で調べていました。いまはGoogleマップや商店街好きの方のブログなどから探すことが多いです。自治体ホームページに掲載されていた商店街の空き商店対策の資料を参考にしたこともあります」

商店街巡りでは、特に古い商店街が固まっているエリアを優先して回る。公共交通手段を使うため、電車やバスの時刻表を事前に調べて効率よくたくさん回れるように綿密な計画を立てている。遠方の場合は、Googleマップのストリートビューで確認する。

「行ってみたら更地になっていたことが何度かあったんです。“反則技”かもしれませんが、取り壊されていないかどうかだけは、ちらっと確認します」 

目的地の近くにほかに商店街がないかも念入りに調べる。すぐそばに別の古い商店街があった、と後で気づくことがまれにあるのだという。

目的地に到着したら、散策をしつつシャッターを切る。見たままのアングルで素早く撮るのが山本さんの撮影の流儀だ。スマホのカメラよりも機動性に優れ、一眼レフより威圧感がなく携帯しやすい、コンパクトデジカメのCanon IXYシリーズを長年愛用している。

山本有 商店街 
山本さんの商店街巡りの必需品。商店街の写真はコンパクトデジカメで撮影(写真:山本さん提供)

写真は後日整理してブログやX(旧Twitter)に投稿する。何年も前に訪ねた商店街の写真だったり、直近に訪れた商店街の写真だったりと、投稿の順番は山本さんの気分次第だ。

平日はシステムエンジニアとして働く

こうして休みの日は商店街巡りにいそしむが、冒頭でも触れたように、平日は大手小売業のシステムエンジニアとして働く。

社内で働く人たちが、業務を効率よく回せるよう、システムを改善したり、作業しやすいように手順書を作ったりするのが山本さんの仕事。リモートではなく、出社して朝9時から18時まで働いている。

「趣味と仕事はまったくの別物」と話す山本さんだが、意識せずとも仕事のやり方が趣味に生かされていると感じている。

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