パリ五輪「誹謗中傷やめない人」の驚く"思考回路" 「嫌ならSNSやめろ」と言う人に知ってほしいこと

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また、その前日にも「準々決勝に関しては、お互い必死に戦った結果なので、ガリゴス選手への誹謗中傷などは控えて頂きたいです」「審判の方も判断の難しい状況だったと思います」「敗戦後に抗議をして握手に応じれなかったことは申し訳なく思っています」などとコメントしていました。

各方位への配慮とスポーツマンシップを感じさせる素晴らしい対応であり、ここで「ようやくガリゴス選手や審判への誹謗中傷が収まった」という感がありました。しかし、誰しも同じような対応ができるとは限らず、選手個人にここまでの責任と労力を背負わせるのは酷でしょう。

そもそも選手にとって五輪は「4年に一度の大舞台」「幼い頃からの憧れ」「人生を懸けてきたもの」だけに感情のコントロールが難しく、普段ならやらない衝動的な言動に至ってしまうこともあるものです。

試合前のメンタルを乱そうとする人も

陸上競歩の混合団体に出場する柳井綾音選手は、自身のXに「今回の20kmWの辞退の件ですが、たくさんの方から厳しい言葉に傷つきました。試合前は余計神経質になり、繊細な心になります。批判ではなく応援が私たち選手にとって力になります。批判は選手を傷つけます。このようなことが少しでも減って欲しいと願っています」とつづりました。

柳井綾音
SNSに悲痛な思いをつづった、陸上・競歩の柳井綾音選手(写真:本人の公式Xより)

これは「混合団体に専念するために女子20キロ競歩出場を辞退する」という日本陸連の発表に批判的な声が集まったことに対するコメントですが、試合前に選手のメンタルを乱そうとする人びとの存在に驚かされました。

このような人がいる限り、JOCの声明にあった「侮辱や脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討いたします」のような警告だけではなく、法や罰則規定の整備、モラルやリテラシーの教育などの多角的な対策が必要でしょう。

また、五輪が次回以降に向けて求められるのは、各競技におけるルールの明確化やジャッジの正確性アップ。誹謗中傷につながりそうなリスクのあるものは1つでも減らす試みを期待したいところです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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