パリ五輪「誹謗中傷やめない人」の驚く"思考回路" 「嫌ならSNSやめろ」と言う人に知ってほしいこと

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また8月1日には、日本オリンピック委員会(JOC)が「TEAM JAPANを応援いただく皆さまには、誹謗中傷などを拡散することなく、SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます」といった異例の声明を発表しています。

JOC声明
「侮辱、脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討いたします」と厳しい言葉も並ぶ、JOCの公式声明文(写真:日本オリンピック委員会公式サイトより)

しかし、そもそも犯罪行為をしたわけではないスポーツの関係者に、なぜこれほどの誹謗中傷が浴びせられてしまうのでしょうか。

ここでは単に「誹謗中傷はよくない」と断罪するのではなく、なぜその行為に至るのか。しなくなるためにはどんな思考が必要なのか。実際にネット上で誹謗中傷を繰り返した人の悩み相談に答えてきたコンサルの立場から、その背景や対策をあげていきます。

「知らない」ことで強気になれる

なぜ、会ったことがない、よく知らない人を誹謗中傷してしまうのか。

それは裏を返せば、「会ったことがない、よく知らない人だから誹謗中傷してしまう」ということ。さらに五輪に関しては、「その競技にさほど詳しくない人びとも見ているから」という理由が加わってきます。

たとえば、普段からその競技を見ている人を除けば、「日本人選手の対戦相手をよく知っている」という人は少ないでしょう。知らないから、相手の気持ちや立場をふまえることなく感情にまかせてコメントできるし、自分におよぶリスクが少ないこともわかっています。

実際、柔道のガリゴス選手を誹謗中傷した人は「スペイン人の彼から訴えられることはないだろう」と思っているのではないでしょうか。

阿部詩選手に厳しい声を浴びせた人も同様に、彼女のことをよく知らないからでしょう。これまでの努力や苦しい日々を知らないのは仕方がないとしても、残念なのは「敗戦のショックや悔しさを理解しようとしない」という不寛容な姿勢。

もともと人間には「勝負事に負けた人、落ち込んでいる人、泣いている人などを軽く見てしまう」という心理傾向があり、しかもこれまで成功してきた人や努力を重ねてきた人に対してはその傾向が加速します。

しかし、「負けた選手は叩いてもいい」「勝てるはずなのに負けた人にはこれくらい言ってもいい」という思考に陥りがちな人ほど、自分の弱さも自覚しているもの。

日ごろ自分が「あまり努力していない」「勝利を目指して必死に戦っていない」ことをわかっているからこそ、それをしてきた彼らの失敗や疑惑に過剰反応してしまうのです。

次ページなかでも「ある気質」の人は要注意
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