パリ五輪「誹謗中傷やめない人」の驚く"思考回路" 「嫌ならSNSやめろ」と言う人に知ってほしいこと

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自分を棚に上げているだけに「この言葉で相手はどう思うのか。傷つけたりしないか」という優しさはありません。

逆に阿部詩選手ほどではなくても、努力を重ね、勝負に挑んでいる人は、彼女に厳しい言葉を浴びせることはないでしょう。むしろ、「あれだけ泣けるのは『絶対に勝てる』と思えるまで努力し、必死に戦ったから」という見方になるものです。

「タイパ」「コスパ」重視の人は要注意

これは選手に限らず審判などの関係者も同様。彼らが「パリ五輪という大舞台で審判を務めるためにどのような努力を重ね、実績を積み上げてきたのか」を知っている人はほとんどいません。

もし審判がミスをしてしまったとしても、その多くは一定数起こりうるヒューマンエラーにすぎません。本質的な問題はヒューマンエラーにつながったルールや体制の不備、機器の不足であって審判個人ではないでしょう。

個人名を特定して本人や所属先のSNSなどに誹謗中傷を書き込む人がいますが、よほど悪質なケースを除けば、誰か1人を責めたところで何も変わらないのです。

その点、誤審疑惑が頻発している柔道は「審判が権力を持ちすぎ」という声も目立ちますが、これは個人ではなくルールや体制の不備、機器の不足などを問題視しているため誹謗中傷ではありません。

ただ難しいのは、「『誰か1人を責めたところで何も変わらない』ことをある程度わかったうえで誹謗中傷してしまう人が増えている」という現実があること。

個人的なストレス発散のために誰かを傷つけようとする人は言語道断であり、これから法整備やプラットフォーム側の対応などで改善していくべきところでしょう。

それよりも深刻なのが、個人的なストレス発散が目的ではないのに誹謗中傷してしまう人。なかでも、日ごろ「タイパやコスパなどを意識している」「動画やドラマなどを倍速視聴する」などの効率を重視する人に危うさを感じてしまいます。

基本的に効率重視の人は、常に感情が後回しになり、本質を探ろうともしないため、他人の感情に鈍感で、本質を知らないまま過ごしがち。さらに効率重視の分、自分の感情を瞬間的に結論づけて発信するため、「思わぬところで人を傷つけていた」というケースが少なくありません。

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