パリ五輪「誹謗中傷やめない人」の驚く"思考回路" 「嫌ならSNSやめろ」と言う人に知ってほしいこと

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ただ、「やりたいことや楽しい時間が“推し活”に偏ると、自分ではなく誰かの人生と向き合うことになってしまう」ので要注意。たとえばアイドルグループの推し活をしている人が「他グループのアイドルやファンを誹謗中傷する」というケースがよくあります。

どちらのアイドルも成功すればいいだけなのに、なぜ誹謗中傷してしまうのか。その理由は「“推し”という他人の人生ばかりに向き合いすぎて、自分の人生と向き合うバランスが悪化し、誰かを攻撃することでそれを正当化している」からでしょう。

「SNSをやめればいい」という極論

「五輪選手のように人生を懸けて打ち込めるものがない」という人も心配無用。特別なものがない日々でも、楽しい瞬間、癒される瞬間、進歩や成長を実感できる瞬間などを増やすことで、他人を攻撃しようという思考が減っていくものです。

また、「周囲の人びととコミュニケーションを取るほど、自分の現状や他人の感情に気づきやすくなる」ことも自ら誹謗中傷を防ぐポイントの1つ。自分の思考だけに凝り固まってしまうことを避けられ、もし批判したくなったとしても「これは言いすぎかな」「こうかもしれないからやめておこう」などと感じる抑止力が身についていきます。

今回のように選手への誹謗中傷問題が取りざたされると、「SNSなんてやめればいい」という声があがりがちですが、それは個人の自由を奪う極論。選手たちの多くは単に目立ちたくてSNSをやっているわけではありません。

実際、「SNSは関係者やファンに自分のことを知ってもらう機会」「感謝などの思いを伝えられ、力をもらえる貴重な場所」という選手も少なくないのです。あるいは「競技生活を続けるために契約を交わしたスポンサー企業の意向」という人もいるでしょう。

ときにSNSは誹謗中傷が集まってしまう残酷なものになりますが、それを「アリかナシか」の極論で考えるのではなく、誹謗中傷をなくすことを考える世の中のほうが生きやすいのではないでしょうか。

7月30日、永山選手は自身のXとインスタグラムにガリゴス選手と肩を組んだ写真と、「ガリゴス選手が会いに来てくれました!彼から謝罪の言葉がありましたが、彼にとっても不本意な結果だったと思います。オリンピックの舞台で彼と全力で戦えた事を幸せに思います!誰がなんと言おうと私たちは柔道ファミリーです!」というコメントをアップしました。

永山竜樹
試合の際には握手できなかったガリゴス選手とのツーショットを掲載した、柔道の永山竜樹選手(写真:本の人公式Xより)
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