ある演劇部の指導者は、教師になってから芸術大学の演劇コースに入り直し、演劇のメソッドを学び直したと話した。進歩的で、生徒のことを第一に考える優秀な指導者が大半だったという印象だ。
生徒が授業を終えて部活に出てくる前に、部活顧問の先生たちは、用具をセットし、今日の予定を確認し、選手を待ち受ける。そして練習が終わると、部員たちの相談に個別で応じたあとに、翌日の準備をする。顧問の先生たちは、生徒が全員帰宅してから、最後に帰宅する。
休日は朝から学校に詰めて、練習を指導する。対外試合や公演があるときには、マイクロバスを運転して遠征する。夏休みには、生徒が学校に泊まり込んで「合宿」を行うことも多い。顧問の先生は、文字通り365日、24時間、生徒に接して指導し、励まし、濃厚な人間関係を築いていく。
受け継がれていく「熱中顧問」の系譜
筆者はそうした指導者の一人に「なぜ、そこまでして部活に心血を注ぐのですか?」と聞いたことがある。
その先生は、まっすぐ筆者の目を見て「私も、そういう高校生活を送ったからです」と言った。
「私の恩師の先生も、365日、生徒のことを考えて指導してくださった。親身になって相談に応じてくださったし、進路についても指導してくださった。
私は当時から、大学で教員免許を取って高校教師になり、部活顧問として恩師のように、子供たちのために全力を尽くす教員になることを考えていました。今、その夢がかなって、最高にうれしいです」
この手の話も何人かから聞いた。そういう形で「熱中顧問」の系譜は受け継がれていくのだ。
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