取材をする際には、高校の職員室に挨拶に行く。在席中であれば校長や教頭に挨拶をすることもあるが、「私も部活顧問として年中子供たちのために頑張っていましてね、そういう先生が今も、何人もいるのは、わが校の誇りだと思っています」「こうした先生方は、まさに高校教師の鑑ですね」などという話を聞くこともしばしばだった。
「やりがい搾取」は、学校が強制的に先生に押し付けたのではなく、教員が「頼まれもしないのに」自主的に「搾取されにいった」という一面もあったのだ。
しかし、そういう「熱中部活」は、高校部活全体の一部だ。
同じ学校でも、顧問が形式上立ち会うだけで、生徒たちが主体的に活動している部活もある。そういう部活では、顧問は生徒がケガをしないか、トラブルが起きないかを見守るのが主な仕事だ。そして時間が来たら「早く帰りなさい」と生徒に帰宅を促す。受験勉強のために、3年生になれば引退することも多い。
別個の生き方の教員が共存している
多くの学校では「熱中部活」と「普通の部活」が混在している。
私学には「強化指定クラブ」と「一般クラブ」を明確に分けているところも多い。野球やサッカーなどは、有望選手を別枠で入学させる私学も多い。「文武両道」ではなく「文武別道」と言われる形だ。
「熱中部活」は、「普通の部活」の顧問からすれば、付き合いきれないし、まさに「やりがい搾取」のように見えている。職員室には、別個の考え方、生き方の教員が共存していることが多いのだ。
「やりがい搾取」で、筆者が問題だと思うのは、搾取が「やりがい」だけで済まない事例が散見されるからだ。
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