全員が一定の成果を出せるキーエンスの仕組み 成果のバラつきを防ぎ、全体の生産性を高める

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3つ目の理由は、モチベーションの観点からです。1人のトッププレーヤーに依存している場合、その人以外のメンバーのモチベーションが下がりがちです。一方、全員が一定の成果を出せている場合、メンバー全員が自分の仕事に対して誇りを持ち、高いモチベーションを維持できます。

また、全員が一定の成果を出せる体制は、組織の拡大にも有効です。新しいメンバーを加えても、一定の成果が期待できるため、人員増強に踏み切りやすくなります。これにより、組織の拡大、会社の成長、ポストの増加といった好循環を生み出すことができます。

ビジネスにおいては、再現性が非常に重要です。会社を永続させるためには、個人に依存するのではなく、誰もが一定の成果を出せる仕組みを作ることが不可欠なのです。

特に営業においては、不確実な存在である顧客の多くに当たることが大切だと言われますが、これはマネジャーから部下を見た場合にも同じことが言えます。部下も不確実な存在であり、特定の個人に依存するのではなく、全員が一定の成果を出せる体制を整えることが重要なのです。

このように、個人に依存せず、全員が一定の成果を出せる組織づくりは、リスク管理、業績最大化、モチベーション、組織拡大のいずれの観点からも非常に重要です。

「成果のバラつき」は「行動のバラつき」から来る

組織における業務の標準化は、成果のバラつきを防ぎ、全体の生産性を高めるために非常に重要です。標準化を行わない場合、個々人の行動にバラつきが生じ、それが直接的に組織の成果のバラつきにつながってしまいます。

たとえば、営業担当者の間で、面談の実施頻度や提案書の提出有無などに差が出てしまうと、顧客との接点の量や質に個人差が生まれ、結果的に売上などの成果にも大きなバラつきが生じてしまいます。これは、組織全体の生産性を下げる要因となります。

一方で、業務の標準化を行えば、全社員が一定の行動基準に沿って業務を遂行できるようになります。これにより、個人の能力差にかかわらず、一定水準以上の成果を安定的に出すことが可能となるのです。

また、標準化には、社員のモチベーション維持や脱落者の減少といった効果も期待できます。

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