「神様」による早すぎる台湾総統選の大予測(前編) 2028年こそ野党統一候補で民進党現職に挑戦か

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2028年に頼氏が総統再選に成功すれば民進党政権は16年続くことになる。これは台湾の有権者の感覚からすると、ものすごく長い時間となる。長期政権への飽きや抵抗感は2024年選挙より強くなるだろう。

米中は引き続き2028年選挙の変数

長期政権の忌避などの台湾の内政ロジックからすると頼氏にとって非常に厳しい選挙になる。だが、台湾の選挙には必ず中国がからむ。「野党に投票すれば統一が近づくのではないか」という疑念は消えないだろう。

中国共産党・習近平総書記の4期目入りがかかる共産党大会は2027年秋に予定されている。まさに2028年1月にある台湾総統選の選挙戦が盛り上がっている最中だ。中国の対台湾工作部門は頼氏再選の流れを防ぎたいと考え、台湾への日常的な圧力と選挙介入を強めるだろう。

台湾の主体性を重視する台湾アイデンティティが定着している台湾民意の構造から考えて、中国が4年後に台湾の世論を統一支持にもっていくのは無理だ。中国が大きな行動を起こせば逆効果となり頼政権の支持が高まる可能性がある。

ここまでは、選挙の争点も与野党の勢力図も2024年とあまり変わらない。一方、中国のやり方によっては台湾の有権者が「目先を変えたほうがよい」と思う可能性はある。その時のアメリカ大統領が誰で、どういう対台湾政策を打ち出しているのかも影響する。やはり米中の動向が2028年選挙の大きな変数となる。

2024年選挙は3候補の争いであったが、2028年選挙は野党連合が成立して1対1になる可能性がある。

台湾の選挙史を振り返ると、2000年総統選挙では国民党が分裂して連戦氏と宋楚瑜氏が争って、陳水扁氏が当選して初の政権交代につながった。2004年選挙では陳水扁総統の再選を阻止するため、分裂していた両者が手を組んで連宋ペアができた。2028年はその再現となる可能性がある。

統一候補ができない場合でも、野党支持者が勝てそうな候補に票を集中させる強烈な棄保(戦略的投票行動)が自発的に発生し、1対1に近い状況が生まれる可能性がある。野党支持者の間では「野党が割れて頼氏を勝たせた失敗を繰り返してはならない」という意識はかなり高い。候補一本化への期待は4年後にもっと強くなると考えられる。

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