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世界で活発化している中国のスパイ活動の実像 情報収集だけでなく偽情報を用いた影響工作も

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フィリピンで現職市長が中国人だったという疑惑が浮上。中国のスパイ活動は全世界に広がる。

中国がキューバで運用している通信傍受施設の衛星画像。中国は対米情報活動を活発化させている (写真:Maxar社による画像を筆者が提供)

フィリピンが中国のスパイ疑惑に揺れている。5月初め、首都マニラの北に位置するバンバン市のアリス・グオ市長がフィリピン上院の公聴会に召喚され、中国のスパイであるという嫌疑が深まった。

事の発端は3月にフィリピン捜査機関が、彼女の街を拠点とするオンライン・カジノがオンライン詐欺の隠れみのであるとして捜査に入ったことだ。そこで労働を強要されていた、202人の中国人を含む700人近くが救出された。

この詐欺に関係する土地の半分をグオ市長が所有していた。彼女の事務所の裏にある8ヘクタールに及ぶ詐欺の拠点で「従業員」は働かされていた。このほか、彼女名義のヘリコプター1機と高級車1台も見つかっている。

彼女は自らをフィリピン人であると主張しているが、市長に当選する以前、彼女が何者でどこから来たのか、誰も知らなかったという。フィリピン上院は、捜査機関によって採取されたグオ市長の指紋が、中国のパスポートを使用してフィリピンに入国した郭華萍という中国人の指紋と一致したことを確認している。

上院の公聴会で家族構成について質問された際、彼女は明確な回答を避けた。こうした彼女の対応に、フィリピン側が懸念を強めている。中国のスパイがフィリピン政界に食い込んでいるのだとすれば、将来、フィリピンの政策が中国の思惑どおりに決定される可能性があるからだ。

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