習政権は三中全会で供給重視の姿勢を明確にしたが、そこには大きなリスクが潜む。
開催が遅れていた中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が7月15日から18日にかけて開催され、最終日にコミュニケ(声明文)が発表された。習近平国家主席が掲げる「中国式現代化」の推進が強調されたほか、建国80年となる2029年までに改革の任務を完成させるという目標を明確にしたことが注目される。
肝心の経済政策の方針に関しては、現代的な産業体系の構築と「新しい質の生産力」の発展を加速させるという方針を掲げた今年3月の政府活動報告の内容を踏襲しているとの印象を受けた。
すなわち、足元の消費低迷を招いている不動産市場へのテコ入れを含めた総需要刺激政策には消極的な一方、政権の1期目から重視していた「イノベーション駆動型の経済成長」を、供給サイドの効率化によって実現しようとする習政権の姿勢は基本的に変わっていない。
開催初日の7月15日には今年4〜6月期の実質GDP(国内総生産)に関する統計が公表されたが、その内容も国内需要の先行きに関して悲観的にならざるをえないものだった。
6月の小売売上高が前年比2.0%増と2023年2月以来の低い伸びとなったほか、上半期のドルベースの輸出額が前年比10.7%増だった一方で輸入額は0.6%の減少であり、国内需要が振るわない中で輸出に大きく依存する状況が明らかになっている。
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