沖縄で米兵の犯罪が続く根本的理由と深刻な実態 沖縄県に連絡しなかった以外の深い問題(後編)

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

沖縄で米兵による犯罪が相次ぎ、沖縄県に情報共有されない事態まで起きた。なぜ米兵の犯罪がなくならないか、その構造を前後編で完全解説する(後編)

軍用機から降りる米兵たち
沖縄には数カ月だけ配備される米兵も多い。写真は2018年に南シナ海での訓練後に嘉手納基地に降り立った米兵(写真:Adam Dean/The New York Times)

前編では在日米軍基地内で娯楽が少なく、基地外に外泊する機会が増えて、その際に事件や事故が起きる背景を説明した。

基地外に刺激求めるマッチョな若い男性集団

それに加えて、基地人員の偏りも影響している。10〜20代の独身が多く、女性が少なく、日々過酷な訓練を課される米軍戦闘員は、刺激(主に酒と女)を求めて基地外で遊びたがる。特に、沖縄の米軍兵力の約6割を占める海兵隊は、50%以上が22歳以下で、女性隊員が8%しかいない(米軍全体では現役兵士の15%が女性)ので、その傾向が顕著だという。

そして在沖海兵隊の地上部隊は、半年ごとに人員を交代するローテーション配備をとっている。米空軍嘉手納基地(北谷町・嘉手納町・沖縄市)も2022年11月から、最新鋭機部隊の半年ごとのローテーション配備を始めた。

沖縄に数カ月だけ配備される米兵は、慣れない土地・職場に家族を帯同せず単身で滞在するため、孤立感から事件・事故を起こしやすいといわれる。離任直前に罪を犯し、発覚前に沖縄を離れれば捕まらないと考える米兵もいる。

在日米軍司令部は、米兵の事件・事故が政治問題化するたび、基地内に住む全米兵に期間限定で夜間外出禁止令を出したり、夜間の外出に同僚や家族の同行を義務づけたりしてきた。また、問題行動を起こした米兵には、個別に外出禁止などの措置をとっている。離任直前の事件・事故についても、発覚した段階で沖縄を離れていてもただちに身柄を拘束するようになっている。

だが、行動制限を解除すればまた問題が起きる。それは、若い独身男性集団に特有の文化が関係している。たとえば、沖縄に滞在する米兵の間では「アメジョ・リスト」が回覧されている。アメジョとは、アメリカ人と好んで付き合う日本人女性に対する呼称だ。一度でも米兵と付き合った日本人女性は名前、顔写真、インスタグラムのアカウントがリストに載せられ、いろんな米兵から接触されることになる。

関連記事
トピックボードAD