加害者は高校時代から、「女性を誘拐して監禁し、強姦する」妄想にふけっていた。そして、2007年に海兵隊に志願する際、集団面接で志望動機を「人が殺せるからだ」と答えて採用されている。
またこの加害者は「棒で殴って意識を失わせ、スーツケースに入れてホテルに運び、強姦するつもりだった」と米軍準機関紙『星条旗新聞(Stars and Stripes)』に語っている。棒は米軍で使われている特殊なもので、死なない程度に意識を失うと教わっていた。
しかし、実際には棒で殴られた被害者に意識があったので、加害者は被害者の脚をナイフで刺す。そうすれば逃げられなくなると海兵隊員時代に習ったのだ。だが、被害者が声を上げようとしたので首を絞めて意識を失わせ、さらに遺棄時に首をナイフで何度も刺して殺害した。軍隊の訓練で得た知識が犯行に利用された。
加害者は事件当時32歳。海兵隊退役後も沖縄に留まり地元の女性と結婚、配偶者とその両親、子供と同居し、周辺に米軍基地のない沖縄本島南部の与那原町に住んでいた。基地内か基地周辺に住む10〜20代の独身男性が犯罪を行うという、米軍関係者の「セオリー」から外れていたことは地元社会に大きな衝撃を与えた。
事件発覚後、米軍は加害者を軍属の対象外とし、起訴前に身柄を拘束されないなどの日米地位協定上の特権が適用されないようにした。「セオリー」から外れた、米軍が管理できない人間の犯罪に対する責任逃れともいえる。
若くて結婚する米兵の問題
2023年12月24日に沖縄で起きた性的暴行事件では、25歳の米空軍兵が勤務時間外に、本島中部の公園にいた16歳未満の少女に車の中で話さないかなどと声をかけ、車で基地外の自宅に連れて行って暴行したという。基地外に住んでいるということは、既婚者の可能性が高い。だとすれば、クリスマスイブ(アメリカ人にとってクリスマスは家族全員で過ごす重要なイベント)に、家族が不在の自宅に少女を拉致したという状況は、家庭に問題があることを示している。
沖縄にいる「若い既婚者」の米兵は、結婚の理由が通常とは異なるという。沖縄に赴任する若い米兵は初任地が沖縄で、初めて故郷を離れての海外生活に慣れていない。階級が低いので待遇も良くない。
だが、「男に尽くす控えめな沖縄女性」(米兵の間で流通しているイメージ)と結婚すれば、故郷の母親のように世話をしてもらえるし、行動制限のある基地から出て自由に暮らせるし、高額な住宅手当のほかに光熱水道費手当なども支給され、実質的に給料が上がる。そのため、沖縄の女性と付き合ってすぐ結婚したがる、20代前半の米兵が一定数いるという。
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