台湾総統選挙が6カ月後に迫った。長らく民進党と国民党の二大政党が張り合ってきたが、第3政党の候補者が割り込もうとしている。国際情勢にも影響する台湾総統選の状況について、最新動向をまとめた。(台湾政治研究者・小笠原欣幸氏の連載第5回、前回記事はこちら、以下敬称略)
台湾の総統選挙は、来年1月13日の投票日までちょうど半年となった。与党・民主進歩党の頼清徳氏(党主席・副総統)、最大野党中国国民党の侯友宜氏(新北市長)、第2野党台湾民衆党の柯文哲氏(党主席・前台北市長)の3候補が競っている。現時点での選挙情勢を簡単に整理しておきたい。
第3政党が話題の中心に
筆者は6月末~7月初の1週間、台湾を訪問し各界の友人知人らと意見交換をした。話題の中心は民衆党の柯文哲候補だった。
世論調査で3候補の支持率の動向を見ると、昨年12月から今年2月まで先頭を走っていたのは国民党の侯氏であった。しかし、3月から民進党の頼氏の支持率が侯氏を上回り、4月以降はどの調査でも頼氏が1位を走る状況となった。
柯氏は昨年来支持率が3位で当選には遠いと思われていた。ところが5月下旬から支持率が上がり始めた。これは、国民党が侯氏を公認候補に指名した時期と重なる。6月から7月初めにかけて柯氏の支持率が侯氏を上回り、2位をキープするようになった。そして、一部の世論調査では柯氏が頼氏を上回りトップに躍り出たものもある。これは驚きで、筆者が台湾を訪問した時に多くの人が柯氏を話題にしていた。
選挙戦の全体の構図は、反民進党の票が2つの陣営に分裂するので頼氏が相対的に有利な状況にある。実際、頼氏は多くの調査で支持率1位を維持している。しかし、独走とはいかず、膠着した展開が続く。柯氏の支持率がこの先どうなるのかについては、このまま突き抜ける可能性があるという見方と、いずれ下がってくるという見方に二分されていた。
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