台湾では2024年1月に総統選挙が行われる。新政権のスタンスが米中の戦略に与える影響はかつてなく大きい。来年までの選挙戦の行方を台湾政治研究者・小笠原欣幸氏が解説していく。(連載第1回)
台湾では来年1月13日に行われる総統選挙を控えて、選挙戦が始まっている。スタートダッシュを決めたのは現在の蔡英文総統を支える与党・民主進歩党(民進党)で、頼清徳副総統を後継者に決定した。一方で、野党の中国国民党(国民党)は誰が候補になるのか不透明さが増している。
民進党は地方選大敗から巧妙な立て直し
4月12日、民進党は頼清徳副総統を公認候補にすることを正式に決定した。昨年11月に行われた統一地方選挙で民進党は大敗しており、頼氏は1月から党主席を兼任して民進党の立て直しに務めてきた。
頼氏が出馬することは昨年から既定路線だったが、頼清徳派と蔡英文派の間にはしこりがあり、両派の党内権力争いは不可避とみられていた。しかし、地方選の大敗があまりにも強烈であったため、蔡氏が責任をとって身を引き、頼氏がすんなりと党主席に就任。党内の主導権を握ることができた。
頼氏は主席就任後、民進党の長期政権が続いて腐敗が指摘される台南市の党員説明会で、市長や同市選出の立法委員(国会議員)、市議会議員など党の公職者を全員集めた。そこで支持者に対して謝罪をさせ、同党の「再生」を誓うパフォーマンスを行った。
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