「神様」による早すぎる台湾総統選の大予測(前編) 2028年こそ野党統一候補で民進党現職に挑戦か

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韓国瑜氏は依然として韓ファンと呼ばれる熱心な支持者がいて待望論も根強いが、本人は立法院長に専念し、そこで名を残すことを優先するのではないか。ただし、出馬の可能性があるように見せておくことも本人が影響力を残すうえで重要だ。

国民党内で影響力大きくした親中派のある人物

傅崐萁氏は出馬の意欲がかなり強いと見られている。傅氏は台湾東部の花蓮県で強固な地盤を固めて「王国」を築き、一時国民党の公認を獲得せずに花蓮県長選に立候補したため同党から除籍されたこともある。国民党の主流からすれば非主流で、馬英九政権時に国民党幹事長を務めた金溥聰氏が傅氏と対立していたことはよく知られている。

にもかかわらず、その彼があっさり議員団長(党をまとめる実権を伴う)になれたことからして、すでに党内の影響力は大きい。傅氏は資金力が豊富だともいわれている。

傅氏は国民党の中でもかなり鮮明な親中派だ。中国の台湾統一工作が今後3年間に大きな成果を上げれば、傅氏に有利になるかもしれない。だが、そうでなければ傅氏が支持を広げるのは難しいのではないか。民進党からすると傅氏が国民党の候補になったほうが戦いやすい。「親中か、保台(台湾を守る)か」というわかりやすい争点を打ち出せるからだ。

朱立倫主席は党内にあった慎重論を退けて2021年に傅氏の国民党復帰を認めた。傅氏の推進力をうまく利用したい目論見だが、行き過ぎを抑える必要もある。舵取りが難しい。

朱氏はいろいろな可能性を考え、策を弄するタイプの政治家だ。傅氏が暴走して自爆するのを待つという考え方があるかもしれない。朱氏の狙いはその時に路線を中道に戻し、自分の出馬環境を整えることではないか。

盧氏が警戒すべきは党内の足の引っ張り合いだ。国民党の総統候補擁立は2016年から2024年まで3回連続で混乱に陥った。その混乱を回避するために、先に党主席選挙に出馬するという考え方もあるだろう。国民党がどのように一本化するのかは注目点だ。

第3勢力である台湾民衆党内では、2024年総統選で得票率26.5%と健闘した柯文哲主席が再度出馬を表明する可能性が最も高い。柯氏でなければ、それぞれ立法委員である黄国昌氏(党議員団長)と黄珊珊氏(2024年選挙で柯文哲選対本部の総幹事)のどちらかの可能性もあるが、どうしても柯氏が中心になるであろう。

しかし、民衆党は2大政党に比べて変数が多い。昨年の選挙戦で柯氏が党の公認候補に決まってから国民党との野党候補一本化(藍白合)の議論が起きたように、公認候補が決まってもそのまま投票日まで行くのか不透明感がある。

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