状況を短絡的に重ね合わせて、今にも台湾が中国から侵攻されるとみるのは正しくない。
「今日のウクライナを、明日の台湾にしては絶対いけない」
2月22日、自民党の佐藤正久外交部会長は党内の会議でそう発言していた。24日のロシアによるウクライナへの本格侵攻で、その言葉の重みは増している。
ウクライナ情勢は、台湾の安全保障リスクを改めて意識する契機となった。「外部勢力による情報戦や、台湾海峡の平和と安定の破壊を防ぐ」。台湾の蘇貞昌行政院長(首相)はウクライナ情勢の緊迫を受け、中国を念頭に警戒を強めていると話した。
目先の緊迫度は高まっていない
市民の関心も高く、台湾メディアはウクライナ侵攻を盛んに報じている。蔡英文総統も台湾市民を動揺させるフェイクニュースの増加を懸念して、各政府機関に対策の強化を指示した。
権威主義的な大国による一方的な現状変更の脅威にさらされ、アメリカがどのように対応するかが問われる――。今のウクライナ情勢と台湾有事に、こういった類似点を見出すことはできる。しかし、状況を短絡的に重ね合わせて、今にも台湾が中国から侵攻されるとみるのは正しくない。
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