中国にとって、過去に1度もなかった”悪夢”が現実味を増している。「台湾独立勢力」の民進党が3期連続で政権を握ってしまう――。
少なくともそう思ってしまうだろう事態である。世界最大の電子機器受託製造企業、鴻海精密工業の創業者である郭台銘氏が2024年1月に行われる台湾総統選挙への出馬を正式に表明した。
台湾総統選では現与党で、中国に屈しない姿勢を示す民進党から頼清徳副総統が立候補したのに対し、野党からは国民党の侯友宜・新北市長、台湾民衆党の柯文哲・元台北市長の2候補が対抗している。ただでさえ民進党政権への批判票が二分され、頼清徳が相対的優位に選挙戦を進めてきた中で、野党系候補がもう一人増えるという構図だ。
実業家として長らく中国を足がかりにビジネスを拡大してきた郭氏は、親中派としてのイメージが強い。それだけに郭氏の総統選出馬は、中国による台湾政策をより迷走させる可能性がある。
親中企業家だとされてきた
鴻海はアップルのiPhoneやソニーのプレイステーションなど多くの電子機器の製造を受託していることで知られ、2015年には日本の電機大手・シャープを買収した。2022年の売上高は6兆6219億ニュー台湾ドル(約30兆円)にのぼる。
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