半世紀も"主役"フロッピーディスクの栄枯盛衰 「なにそれ?」と知らない世代も増えてきた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アメリカ・サンフランシスコの市営鉄道ミュニ・メトロ、その列車制御システムの一部に、また、ドイツ海軍はブランデンブルク級フリゲート艦F123の航行制御システムに、いまもフロッピーディスクを使用している。それらはいずれも2030年まで使い続けられる可能性があるという。

日本国内では、自治体や事業主が金融機関との間で行う口座振替手続きにおいて、情報の受け渡しにフロッピーディスクが使われているケースがまだ相当数あると考えられている。これについては、自治体や事業主側の事情によるものと、金融機関側の事情によるもの、両方のケースが存在するようだ。

誕生:IBMがフロッピーディスクを発明

フロッピーディスクと、それを読み書きする装置であるディスクドライブはIBMによって1971年に発売された。

IBMは、エンジニアのアラン・シュガートを責任者に据え、パンチカードや磁気テープよりも手軽にソフトウェアや更新用データを読み込ませられる記録システムを開発する「Progect Minnow(プロジェクト・ミノウ)」を立ち上げ、プロジェクトメンバーの1人が「メモリーディスク」と称するまったく新しい磁気ディスク装置を提案した。

メモリーディスクは8インチの柔らかい円盤に磁性体を塗布したもので、80kB(キロバイト)の記録容量があった。いまでは微々たる容量だが、これは当時使われていたパンチカードで言えば3000枚に相当する容量だ。ただ、ディスクにはホコリが付着しやすく、汚れやすいものだったため、チームはホコリを除去するための不織布を裏打ちした薄い樹脂製のスリーブにディスクを収めることにした。こうして開発されたのが最初の8インチフロッピーディスク(8インチFD)「IBM 23FD」になった。

フロッピーディスクに関するIBMの特許申請資料 (写真:USPTO)

8インチFDは、パンチカードなどに比べてデータの入出力が素早く簡単にできるメリットが評価され、多数のシステムで採用されるようになった。さらに1972年にはソフトウェアフォーマット方式を導入して、容量が400kB(フォーマット後は250kB)へと大きく向上した「IBM 33FD」が登場し、以後も1977年に登場した合計記憶容量1.6MB(メガバイト、フォーマット後は1.2MB)の「IBM 53FD」まで、段階的に改良が重ねられていった。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事