半世紀も"主役"フロッピーディスクの栄枯盛衰 「なにそれ?」と知らない世代も増えてきた

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ちなみに、日本ではドクター中松こと中松義郎氏がフロッピーディスクを発明したと思っている人が多い。IBMは、ニューヨーク・タイムズの記事のなかで、フロッピーディスクはあくまで自社が発明したものだとし、中松氏といくつかの特許使用契約を結んだことはあるが、それはFDに関するものではないとしている(当時のIBMは新製品を市場投入する際、のちのち権利を主張され紛争になりそうな技術特許を調べ上げ、あらかじめ権利問題をクリアにしていたと言われおり、その一環として中松氏が所有する特許に関する使用契約も結んでいたと考えられる)。

したがって、IBMはアメリカだけでなく日本でも審査を経て、発案者としてフロッピーディスクおよびフロッピーディスクドライブ(FDD)の特許を取得している。この使用契約が逆に、中松氏が自身を発明者だと主張する根拠になったのかもしれない。

アップルが採用して身近に

企業で使われるようになった8インチFDは、当時マイクロコンピューター(マイコン)と呼ばれていた、個人向けコンピューターやワープロ用の記録メディアとするには、サイズ的に向いていなかった。

そこで、8インチFDの開発を主導したシュガートは、IBMを離れて自ら設立した会社Shugart Associates(シュガート・アソシエイツ)で、ディスクサイズを縮小した5.25インチFDを開発した。

1976年に発表された5.25インチFDと同FDDは、アップルコンピューターの共同創設者であるスティーブ・ジョブズの目に留まった。ジョブズは、1977年に発売されたパーソナルコンピューター「Apple II」に5.25インチFDを採用すべく、シュガートを何度も訪ね、安価に製造可能なドライブを作るよう頼み込んだ。そして、最終的にShugart Associatesから制御基板をはじめとする25個のコンポーネントで構成されたプロトタイプFDD、SA-390の提供を受けることとなった。

一方、もうひとりのアップル共同創設者、スティーブ・ウォズニアックは、当時のアップルCEO、マイク・マークラからディスクドライブシステムの設計をするよう依頼されて開発したディスクコントーラーをSA-390と組み合わせて、1978年に「Disk II」と名付けたフロッピーディスクシステムを開発・発売した。

5.25インチFDDはApple IIの売り上げを後押しした(写真:©Rama /Licensed under CC BY 4.0)
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