なぜメディアは本田も協会も甘やかすのか セルジオ越後に聞く「日本サッカーの問題点」

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前監督のザッケローニのときもそうでしたが、日本のメディアは「日本代表が本当に強いのか」「どうすれば世界に勝てるのか」といったことにあまり興味がないんです。

彼らの関心は「ブームを作って、ワールドカップまでにいかに儲けられるか」だけにある。だから、日本ではいつまで経ってもスポーツは文化として根付かず、ブームの域を出ないんです。

本田の失敗を批判しないのは、本田にとっても不幸

――なでしこジャパンの宮間あや選手がワールドカップから帰国したあとの会見で「女子サッカーをブームから文化にしたい」と言っていました。

宮間の気持ちはよく分かるけど、僕は男子サッカーだって、未だに文化ではなく、ブームのようなものだと思います。

「メディアはチェック機能を果たせ」と苦言を呈するセルジオ越後氏。監督が替わって大きなチャンスだったのに、今回も同じような報道を続けるメディアは変わらなければならない(撮影:今井康一)

たいして強くないのに、ワールドカップでベスト8、ベスト4に進出する実力が日本代表にあるかのように報じて国民をだます。ヨーロッパのクラブでちょっとアシストしたぐらいなのに、そのチームの中心選手として90分間、活躍していたかのように報じ、“スター選手”に仕立て上げる。こうして“売れるコンテンツ”を作り、ブームを仕掛けているんです。

日本では“売れる”選手しか取り上げられません。逆に言えば、“売れる”選手は本業であるスポーツで活躍していなくても取り上げられる。

その良い例が本田圭佑でしょう。シンガポール戦での本田はチャンスを逃し続け、ゴールを奪えませんでした。でも、翌日のスポーツ紙には、期待外れに終わった本田を批判する記事は一切なく、代わりに、「おしゃれなスーツを着込んでアメリカに旅立っていった」という記事が載っていました。

これはまるで芸能ニュースです。前日にワールドカップ予選を戦った選手を取り上げた記事とは思えません。これって、選手にとっても不幸なことだと僕は思います。

飯尾 篤史 スポーツライター

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いいお あつし / Atsushi Iio

東京都出身。明治大学卒業後、サッカー専門誌の編集記者を経て2012年からフリーランスに転身、スポーツライターとして活躍中。『Number』『サッカーダイジェスト』『サッカーマガジン』などの各誌に執筆。著書に『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成に岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(ベスト新書)などがある。

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