なぜメディアは本田も協会も甘やかすのか セルジオ越後に聞く「日本サッカーの問題点」

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それに、そもそも疲れているとか、休みがないとか、まったく関係ないですね。そのために日本代表監督史上最高と言われる年俸(報道によれば約2億7000万円とも)を支払っているわけですから。こんな大金を支払っているのに、日本サッカー協会がまったくコントロールできていないところに、僕は危険性を感じます。

――7月1日にはリオデジャネイロ五輪への出場を目指すU-22日本代表がU-22コスタリカ代表と重要なテストマッチを行ないましたが、そのときもまだバカンス中でした。

U-22日本代表のなかにはハリルホジッチが5月の日本代表候補キャンプに招集した選手もいるし、A代表の「弟分の戦い」を視察するのは、代表監督の義務だと思います。ミーティングに顔を出して檄を入れれば、選手のモチベーションや意識も高まるんですがね。

また、8月上旬には中国で東アジアカップという大会が開催されますが(中国、日本、韓国、北朝鮮の4か国のA代表が出場)、この大会は国際Aマッチデーに行なわれるわけではないので、ヨーロッパでプレーする選手を拘束することができない。国内組だけで臨むわけですから、なおさら1試合でも多くJリーグを視察し、新戦力を発掘すべきだと思います。

ハリルホジッチは「ヨーロッパでプレーする選手をひいきすることはない」と言っていましたが、ヨーロッパのシーズンが休みになった瞬間に自身もバカンスを取り、第1ステージの大詰めを見なかったわけですから、Jリーグでプレーする選手たちが、自分たちはあまり重視されていないんじゃないか、と感じても仕方がないですね。

ハリルホジッチを「救世主」に仕立てる甘い構造

――メディアがチェック機能としての役割を果たしていないということですね。

そうですね。問題と感じなかったのか、余計なことを言って日本サッカー協会から目をつけられたくないのか、あるいは、ハリルホジッチでひと儲けできそうだから、批判したくないのか……。

昨夏のブラジル・ワールドカップで惨敗し、今年1月のアジアカップでも早期敗退したうえにアギーレが八百長問題で退任することになり、日本代表は危機的状況でした。そんなところにハリルホジッチがやって来た。

饒舌で、ちょっとしたユーモアもあって、エキセントリックで、選手の体脂肪率を明かしてしまうなど、ニュースまで提供してくれる。メディアにとってハリルホジッチは、ありがたい存在なのでしょう。

就任から3か月の間で「ハリルホジッチが日本のサッカーを変える」というような見出しを僕は何度か目にしてきました。そこには、彼を日本サッカーの救世主に仕立てあげようとするメディアの狙いが見え隠れしています。でも、本当に彼が救世主なのかどうかは、結果で判断することで、メディアが意図的に仕立てあげるものではありません。

結果という点で、ハリルホジッチはシンガポール戦で日本代表に勝利をもたらすことができませんでした。でも、そのことを厳しく追及するメディアはほとんどなかった。

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