例外的には特別なハレ消費の場合か、付加価値を十分に認めている商品の場合だ。それであれば多少の値上げにも消費者は購買を続ける。CoCo壱番屋の場合、少なくともこれまでの値上げは売り上げに大きな影響を及ぼしていない。お客は一定の価格上昇を受け入れている。
同社は、これまで価格以上の価値を提供していたと認識されている。実際にリピーターが多い。お客との信頼関係を維持する努力も見受けられる。
CoCo壱番屋の値上げは単なる価格改定ではなく、経営戦略の一環として捉えるべきだろう。同社が今後も顧客に愛され続けるためには、価値ある商品とサービスを提供し続けることが不可欠であり、そのための覚悟ある値上げ発表ととらえるべきだ。
CoCo壱番屋の狙い通りになるか
ところで、ここまで比較的に同社を応援するコメントを書いてきた。実際に真摯な経営方針である同社を私は応援している。ただ、あえて注目するポイントを述べたい。
それは客単価「1000円の壁」をすでに突破している同社が、今後、どのようにして客単価を上げていけるか、どこまで上げていけるか、だ。
相次ぐ値上げによって、CoCo壱番屋の客単価は2023年2月期に初めて1000円超えを果たし、1018円となった。
今回の価格改定で言えば、ビーフカレーがライス300gで794円だ。それにトッピングメニューを加えると、ほうれん草252円などで、1000円を超える。チーズ264円であっても超える。これは高いものを意図的に選んでいるわけではなく、もっと高いトッピングがある。
もっとも以前の価格表でも1000円を超える組み合わせはある。ただ、今回の価格改定では、高くないトッピングであっても、トッピングをすれば1000円を超える可能性が高い。それをどう消費者が見るか。
なおプレスリリース「価格改定に関するお知らせ」には「現時点において、価格改定に伴う業績予想の修正はございません」とある。ベーシックなカレーを提供する店としては、普通に食べて1000円を超えるのは、価格設定としては挑戦的のように思える。
ただし、これほど愚直にカレーの基礎を固めてきたチェーン店が価格改定を成功させるのであれば、実質賃金がマイナスの状況において、それを覆す一つの大きな象徴になるかもしれない。その意味でも、CoCo壱番屋の価格改定に注目したい。
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