バビアクらの発見のうちには、少しも意外ではないものもあった。調査対象の圧倒的多数は、最高点が40点の精神病質チェックリストで、0点か1点か2点しか取らなかった(テッド・バンディは39点だった)。
バビアクらはこのチェックリストに、精神病質の調査でよく使われる2つの境界を定めた。22点前後かそれ以上なら、サイコパスの「可能性あり」、あるいはサイコパスになる「潜在性あり」で、30点を超えると、間違いなくサイコパスだった。
幹部になるための訓練を受けている200人超の管理職のうち12人、つまり6%弱が最初の境界に達した。だが、この調査参加者の約4%に当たる、なんと8人が30点を上回った。33点の人が1人、34点の人も1人いた。
刑務所に入っている男性犯罪者の平均は? 22点だ。
企業の幹部はサイコパスの割合が高い
たしかに、200人余りのたった1枚のスナップショットでは、企業の世界の典型とは必ずしも言えない(それに、参加者は全員アメリカ人だったので、文化的な偏りがある)。
それでも、民間部門のリーダーシップの片鱗(へんりん)がそこには窺われるので、穏やかならぬものがある。精神病質に関して社会全体のサンプル調査をすると、500人に約1人が、サイコパスの境界である30点を超える。企業の管理職志望者を対象としたある調査では、その割合は25人に1人だった。
この結果は例外かもしれないが、この調査からは、人口全体と比べて企業の幹部では、サイコパスの割合が約20倍にもなることが見て取れる(100人に1人がサイコパスであることを示す調査もあり、その場合には、人口全体と比べて、企業幹部ではサイコパスの割合が5倍となる)。
そして、ここがいちばん興味深いのだが、25点を超えた9人のうち、「2人がヴァイスプレジデント、2人が取締役、2人が部長かそれに匹敵する地位、1人がその他の管理職だった」点だ。
サンプル中のサイコパスたちは、たんに上層部までたどり着こうとしていただけではなかった。すでにそれを成し遂げていたのだった。
これはおそらく、ただの偶然ではないだろう。ダークトライアドの特性には、2つの効果があるのかもしれない。そのような腐敗しやすい人々に権力を渇望させるが、それとともに、権力を手に入れるのを得意にさせることも可能なのだ。
そして、それはけっきょく、冷酷な利己主義にレーザー光線のように的を絞る能力に尽きるのかもしれない。
(翻訳:柴田裕之)
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