一方、サイコパスは面接ごとにカメレオンのように対応し、面接官が新規採用者に求めているだろうと思うものに合わせて自分を完全に変える。
サイコパスは、どの応募のときにも履歴書に記入する学生時代の評価点を必ずわずかに水増しするなどということはせず、銀行で面接を受けるときには経済学の学位を持っていることにし、法律事務所で質問されているときには法律関係のインターンシップの経験をでっち上げる。
完全に偽りの人格を手際良く作り上げるサイコパスもいる。彼らが知能の高いサイコパスだと(多くがそうだ)、うまく騙し通すことができる。
収入が多くて出世するのが上手
別の調査では、研究者たちは1000人弱の企業従業員を対象にして、ダークトライアドの特性を評価した。
すると、ナルシシストは収入が多く、マキャヴェリストは社内で出世するのが上手であることがわかった。
一方、精神病質が強い人は、そのせいで将来のキャリアが損なわれるようだった。おそらく、うまく溶け込めずに「しくじった」サイコパスや自制心のないサイコパスが足を引っ張っていたのだろう。
衝動的で攻撃的で、暴力的でさえある自分の行動をうまく管理できないサイコパスは、職場でその報いを受けることを示す証拠がたしかにある。上司に向かってわめき散らしたり、冷水器を殴りつけたりしても、昇進につながるはずがない。
それに、およそ利口とは言えないサイコパスも当然ながらいる。だが、ダークトライアドの特性は、単独で存在しているわけではないことが多い。
3つの特性が協調して作用すると、精神病質を形成するうちでもとりわけ破壊的な要素のいくつかは、効果が鈍るばかりか、強みに変わることさえありうる。
役員室に収まっているサイコパスは知能が高く、他者を支配しようとするなかで、自らを律する術(すべ)を身につけたのだ。
そこで、職場における精神病質の専門家として世界でも指折りの3人であるポール・バビアクとクレイグ・ニューマンとロバート・ヘアは、企業の階級制の上層部に、ダークトライアドが多少見られるだろうか、と考えた。
彼らは、7社の管理職200人以上を調べた。これらの人々は全員、幹部養成――企業の階級制の上層に昇進させるための訓練プログラム――のために企業に選抜された点が共通していた。
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