私たちがどのように人を採用したり昇進させたりするか、考えてほしい。その人の成功のカギは、魅力とカリスマと好感度が握っている。
採用面接は演技の場だ。応募者は、履歴書や、それに添えた効果的な自己PRや、有力な推薦状を持って会場に行く。だが、いったん入室したら、そこにいる人々にいかに気に入ってもらえるか――そして、自分がその職にふさわしいという認識を持ってもらえるか――が勝負だ。
心配していたり、自信がなさそうだったり、おどおどしたりしていたら、雇用される可能性が低くなる。だが、自信があって、言動が上品に見え、どんな質問を投げ掛けられても答えられたら、選ばれる可能性が高まる。
ナルシシストでマキャヴェリストのサイコパスにとって、標準的な採用面接は打ってつけのフォーマットだ。
彼らは、自分について話すのが大好きだ。彼らは自分の欲しいものをどう手に入れるかについて、戦略を立てる。目的は手段を正当化する――たとえそれが、自分についての噓をつくことや、証明書や推薦状を捏造することを意味しても。
そして彼らは、表面的な魅力とカリスマを目立たせる天賦の才を持っている。私たちの雇用の仕方のせいで、ダークトライアドが不相応なまでに報われてしまうのだ。
印象管理のために噓をつく人たち
科学者たちは、採用面接での成績と「印象管理」とを評価することで、この現象を追ってきた。
人が自分を他者にできるかぎり良く見せようとするときにはいつも、印象管理をしていることになる。それ自体には、どこも悪い所はない。誰もがそうする。正常なことだ。
だが、必要以上の大きくて役に立たないハサミを持つシオマネキとちょうど同じで、私たちも印象管理をしているときに不正直なシグナルを発することがある。他者に自分を良く見せようとして噓をつく人さえいる。
ところが、サイコパスやマキャヴェリストを採用面接のときに測定すると、他の人とはじつに興味深いかたちで違うことがわかる。
予想に違(たが)わず、マキャヴェリズムの傾向が強い人はそうでない人よりも、採用面接のときに多くの話をでっち上げたり、誇張したり、噓をついたりする。
だがサイコパスは、自分が受けている面接に合わせて、話をでっち上げたり、誇張したり、噓をついたりする。不正直な人のうちには、他の応募者よりも優位に立とうとして、履歴書を粉飾する人がいる。
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