ホモ・サピエンスは「投げる」のが得意
私たちの種ホモ・サピエンスの30万年の歴史をたった1年に圧縮すれば、私たちは元日からクリスマス頃まで、ほとんど、非階級制の平らな社会で暮らしてきたことになる。
最後の6日間に階級制が標準になり、複雑な文明がこの惑星の各地に根を張る。そのときにようやく、支配と専制政治が私たちの特徴となった。私たちの現代社会こそが例外なのだ。
チンパンジーとの共通祖先のアルファオスは、有史以前の多くの人間社会から消えた。では、彼らはどこに行ったのか?
もし、世界一強力なチンパンジーに野球のユニフォームを着せ、最高の指導をし、毎日ピッチングの練習をさせても、せいぜい時速30キロメートルぐらいのボールしか投げられないだろう。
それは、どこにでもいるようなリトルリーグの小柄で弱々しい7歳のピッチャーの球速程度でしかない。
まともな12歳児なら、チンパンジー版のノーラン・ライアンやマリアノ・リベラのような豪速球投手と比べてさえ3倍に当たる時速100キロメートル近い速球でバッターを三振に打ち取れる。
私たちの霊長類の祖先は、ストライクを投げるよりも、バッターにボールをぶつけたり、暴投したりする可能性のほうが高かっただろう。
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