女性よりも男性を出世させがちな「石器時代の脳」 男性偏重の背後にある進化のミスマッチの問題

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手の上に乗った男性と女性のシルエット
私たちは石器時代には優秀な戦士や狩人になれたであろう身体的特徴をもった男性を、現代の指導者に選ぶ傾向があるそうです(画像:taa/PIXTA)
横暴に振る舞う上司、不正を繰り返す政治家、市民を抑圧する独裁者。この世界は腐敗した権力者で溢れている。
では、なぜ権力は腐敗するのだろうか。それは、悪人が権力に引き寄せられるからなのか。権力をもつと人は堕落してしまうのだろうか。あるいは、私たちは悪人に権力を与えがちなのだろうか。
今回、進化論や人類学、心理学など、さまざまな角度から権力の本質に迫る『なぜ悪人が上に立つのか:人間社会の不都合な権力構造』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。

履歴書の評価に見られるバイアス

なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造
『なぜ悪人が上に立つのか: 人間社会の不都合な権力構造』(東洋経済新報社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

10年ほど前、名門大学の科学者たちが、研究室管理者の職に応募した学生たちを評価するように依頼された。

彼らのもとに履歴書が送られた。彼らは用意された評価書を使い、応募者を採点して、資格や技能や経験に基づいて初任給を提案する必要があった。

「私たちは、学部生が科学の分野でのキャリアを進めるのを助ける、新しい指導プログラムを創設している、というのが表向きの説明でした」と、スキッドモア大学准教授のコリーン・モス=ラクシンは私に語った。

「私たちは教員たちに、研究室管理者職への応募書類のそれぞれについて、率直なフィードバックをしてくれるように頼みました」

教員たちは知らなかったが、履歴書は偽物だった。応募者の資質はさまざまで、この仕事にふさわしい人も、ふさわしくない人もいたが、肝心な操作が行われていたのは、冒頭だった。

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