
①「フジテレビ問題」の背景に横たわる根本問題。放送業界データからひも解く「男性優位の同質性」
②女性が意思決定層に上がれない4つの根本要因。「同質性の弊害」を放置した先に待っているもの
③放送業界における「女性活躍の現在地」。時代遅れのジェンダー観が阻む制作現場の多様性
フジテレビと各局に通底するもの
大学院修了後、私の研究についてメディア関係者や研究者などに向けた勉強会で発表の機会をいただき、細々とその内容についてお伝えしてきました。どの場でも、参加した女性たちからは「首がもげそうになるほど頷いた」「一言一句違和感がない」と強い共感をもらい、男性からも「この内容をもっと広めるべき」という言葉をかけられることがありました。男女問わず問題意識の共有ができたことは、うれしい驚きでした。
そんな折に起こったフジテレビ問題。第三者委員会の厳しい報告内容についてはさまざまな角度から報じられていますが、この問題の背景に「男性優位の同質性」があったという指摘は画期的でした。
奇しくもフジテレビで当該トラブルが起きていたのと同じころ、2023年6月から8月にかけて、わたしは論文執筆のためのインタビュー調査を複数社の放送局員に行っていました。番組制作現場の意思決定層に女性がたどり着けないのはなぜなのか、放送局で働く女性たちが感じる葛藤や不利益の背景に何があるのか――。この問いが行き着いた先にあったのも「男性優位の同質性」でした。本研究のテーマである「女性の働き方」とフジテレビ問題の背景にあったハラスメント。2つの事象には通底するものがありました。
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