清少納言描く「平安の理想の男性像」と"現実の姿" 宮中の明け方の光景から恋愛模様が垣間見える

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光る君へ 大河ドラマ 清少納言
清少納言ゆかりの石清水八幡宮(写真: terkey / PIXTA)
今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は清少納言が語る平安時代の理想の男性像と、現実の姿を解説します。
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平安時代の理想的な男性像

随筆『枕草子』の著者・清少納言はこう語ります。「明け方、女性のもとから帰る男性は、服装を整えたり、烏帽子のひもを元結に固く結び付けたりしなくてもよいのではないか」と。

この発言は、少し意外です。清少納言ならば「身だしなみを整えて帰るのが美しい」とでも言うのではないかと想像していたからです。でも、そうではなかった。とてもだらしなく、服装が乱れていたとしても、それを見て、誰が笑ったり非難したりするのかと。どうやら清少納言は寛容なようです。

清少納言は「男はやはり、明け方、女性のもとから帰っていく姿が、もっとも風情がある」とも言います。

「もう明るくなってしまったわ。世間体が悪いわね」と女性から言われた男性は、ため息をつきます。清少納言はそんな姿に対してこう考えます。女性からすれば、男性が心の底から立ち去りたくなく、場合によっては帰るのが億劫に見えると。

男性は座ったまま指貫をはこうとせず、女性のほうに身を寄せて、昨晩の甘い言葉の続きを耳元でささやきます。そして、男性はいつの間にか帯などを結んで、格子を押し上げ、女性を妻戸口(出入り口)まで連れていくのです。「昼間に会えないときに、どんなに気がかりなことか」。男性はこう別れの言葉を伝えます。そうして、そっと邸を出ていくのです。

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