「商品数を3分の1に減らした」銀座伊東屋のその後 「楽しめる文房具屋」のためにやってきたこと

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伊東屋がミッションとして掲げているのは「クリエイティブな時をより美しく、心地よく」だ。「私たちがサポートさせていただきたいのは、前向きにクリエイティブな仕事をしている人であり、その環境が美しく心地よくあってほしいと考えています」(伊藤さん)。

クリエイティブな仕事というと、建築家やデザイナーなど、限られた職種と捉えられがちだがそうではない。自分の仕事をおもしろがり、日々、何らかの工夫を重ねている行為にはクリエイティブが宿っている。「僕自身も気持ちよく仕事したいので、『美しく、心地よく』という文言を入れました。

オリジナル商品も強化していきたいと話す伊藤社長(撮影:今井 康一)

パリの“メゾン”のような在り方目指す

冊子『伊東屋らしさ』について、この秋には改訂版が出るそうだが、基軸は変えずにディテールの見直しを行った。ともすると、この手のブランドブックの改訂は、全面刷新となり、受け取る社員が戸惑うケースが少なくはない。だが、こうやって基軸をぶらすことなく丁寧に見直し、磨いていくやり方は、ブランドを鍛えていくのに有用と感じた。

伊藤さんはまた、銀座通連合会副理事長という役割を務めており、銀座の街をよりよくしていく活動にも力を注いでいる。「パリで、いわゆる“メゾン”の地位を獲得しているブランドは、自ら商品の企画から製造、販売までを一貫して行っていて、うちもそこを目指しています」(伊藤さん)。

目の前にお客がいて、そこに向けたものを作ったり選んだりし、買ったお客が愛用することで信用を得ていく。その積み重ねにこそ、“らしさ”が宿り、ブランドとしての価値が培われていく。伊東屋の強みはそこにあり――伊藤さんの話を聞きながら、そんなブランドのありように思いが及んだ。

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川島 蓉子 ジャーナリスト

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かわしま ようこ / Yoko Kawashima

1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了後、伊藤忠ファッションシステム入社。同社取締役、ifs未来研究所所長などを歴任し、2021年退社。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』『アパレルに未来はある』(日経BP社)、『未来のブランドのつくり方』(ポプラ社)など。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

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