「商品数を3分の1に減らした」銀座伊東屋のその後 「楽しめる文房具屋」のためにやってきたこと

✎ 1〜 ✎ 19 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

伊東屋の創業は1904年、初代の伊藤勝太郎氏が、銀座3丁目に「和漢洋文房具」を扱う店を開いたのが発祥だ。日本のものはもちろん、欧米やアジアのものも含め、世界の優れた文房具を多くの人に伝えたいという思いのもと、店を構えた。

「勝太郎は私の曽祖父にあたるのですが、強い好奇心と実行力を持った人で、目の前のコトやモノから、次々と新しい可能性を見出していきました。その思想は、今も脈々と流れていると思います」(伊藤さん)

2005年に社長に就任した伊藤明社長(撮影:今井 康一)

2年かけて「伊東屋らしさ」をヒアリング

伊藤さんは日本の大学を卒業後、アメリカのアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで工業デザインを学び、1992年、伊東屋に入社した。「当時の店は、商品があふれんばかりに詰め込まれていて、お客さまで賑わっているのですが、ワクワクする楽しさが感じられなかったのです」(伊藤さん)。社員も「言われたことをやる」姿勢の人が多く、未来を拓いていくのは難しいと感じたという。

改革のきっかけになったのは、伊東屋銀座のリニューアルだった。「伊東屋とは?」という問いについて、社員をはじめ、お客や取引先を含め、約2年の歳月をかけてヒアリングし、議論を重ね、『伊東屋らしさ』と題した冊子にした。

そして、そこでまとめたミッション、バリュー、ビジョンに基づき、新しい店の構成や内容を決めていった。銀座という立地も含め、伊東屋で過ごしてもらう時間と空間を、いかに有意義で心地よいものにするかに知恵と労を割いた。

豊富にモノが揃っていることが、楽しさや豊かさを意味する時代ではなくなっている中、伊東屋ならではの店構え、品揃え、接客など、次の時代に向けた“らしさ”を追求していったのだ。

【写真】写真フレームや小物入れなど伊東屋のオリジナル商品も人気だ
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事