東京の「出生率0.99」を騒ぐ人に欠けている視点 若者はお金がなく婚姻数の減少が加速していく

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また、出生率だけを取り上げて、県や市町村単位で比較などをしても全体像を見誤ります。元々の人口が少ないエリアでどれだけ出生率が高くても、それは全体からすればほとんど影響がありません。出生数とは人口依存するものであり、事実東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の8都府県だけで日本の出生数の半分以上を占めます。

これら人口集中地域での出生数の減少幅を少なくしない限り、日本全体の出生数は改善されないし、それはすなわち国全体の出生率も下がるということになります。

日本の出生力というものを客観視するためには、出生率ではなく、出生数、そしてその出生数の元になる婚姻数、さらには、出産対象年齢である15~49歳の有配偶人口と未婚人口がどうなのかというものをあわせて見ていく必要があります。

東京は未婚率も高いが、婚姻率も高い

それらの推移を、東京、東京以外の7大都市(前述した埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡)とそれ以外の39道府県とで、1995年を1とした推移で比較してみましょう。出生率だけを見るのとは違う景色が見えてきます。

まず、出生数は、一目瞭然ですが、東京だけ2010年以降1995年の数を超えていて、2020年時点でも唯一プラスです。

それを牽引したのが、東京だけ他と比べて2005~2010年は婚姻数が唯一プラスだったことによります。未婚率が全国1位なのに、婚姻数が他と比べて多いのは違和感があるでしょうか? しかし、人口千対の婚姻率で見ても、東京はかなり前からずっと全国1位でした。未婚率も高いが、婚姻率も高いのが東京です。

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