日本の少子化の原因は、すでに結婚した夫婦が子どもを産まない(産めない)ことではなく、そもそも婚姻数の減少であることは当連載でも何回もお伝えしている通りですが(参照:『少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点』)、未婚化や非婚化が進んだ要因として、長期にわたる経済環境停滞の影響は間違いなくあります。
かつては「貧乏子沢山」などといわれもしましたが、現代では「裕福ではないと結婚も子を持つことすらもできない」時代となっています。それを如実に表しているのが、国民生活基礎調査における「児童のいる世帯」の年収分布の差です。ここでいう児童とは18歳未満の子を指します。
中間層が結婚も出産もできなくなっている
以下のグラフは、2000年と2022年の「児童のいる世帯」の年収別世帯数を比較したものです。児童のいる世帯の絶対数が減っていることはご存じの通りですが、グラフを見ると、世帯年収900万円以上の世帯に限ってはまったく減少していません。
減っているのはそれ以下の世帯年収であり、特に世帯年収300万~600万円あたりの中間層世帯が「子どもを持てなくなっている」ことがわかります。つまり、日本の婚姻減、出生減は、この中間層が結婚も出産もできなくなっていることによるものなのです。
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