つまり、非正規未婚の割合も多少は増えているのですが、本来もっとも結婚が多いはずの若者が正規雇用であっても未婚のままという割合が増えていることになります。特に、25-29歳の非正規雇用率は2014年の16.9%を頂点として年々低下しています。
それはそもそもこの年齢帯の絶対人口が減っているために求人率が改善されているためですが、正規雇用の割合が高まった2015年以降も未婚化と婚姻減は進行しています。このファクトを見る限り、「非正規雇用を減らして正規雇用を増やせば若者の経済環境は改善されるはずだ」とはなっていないわけです。
そもそも正規雇用といってもすべてが高年収であるわけではありません。東京や大阪などの大都市の大企業に就職できた若者は、初年度から最低でも年収300万円は余裕で超えていることでしょう。
しかし、地方の中小企業などに就職した場合、30歳を過ぎても年収300万円に到達しないケースがあります。一口に正規雇用といっても、企業の規模や地域、職種によっても大きく異なります。
満足な年収を得られる層はほんの一部
ちなみに、全国レベルでは、正規雇用者であっても、未既婚合わせた25~34歳男性全体で19%が年収300万円に到達していません。400万円未満なら46%を占めます。要するに、たとえ正規雇用であったとしても、満足な年収が得られる層は一部であり、雇用形態云々以前に全体的に年収があがっていないことのほうが深刻です。
男性の場合、特に年収と未婚率とは大きな相関があり、年収が低ければ低いほど結婚できていません。就業構造基本調査から、2007年と2022年とで、正規非正規別に25~34歳の男性の年収別未婚率を比較したものが以下のグラフです。
非正規のほうが正規に比べて未婚率が高いのはその通りですが、注目したいのは、正規雇用者であっても、各年収帯で未婚率があがっていることです。
特に、2007年時点では、年収400万円を超えれば、25~34歳男性の半分以上は結婚できていたのに、2022年には未婚率が50%を切るのは年収500万円以上と、15年前と比べて100万円ほど結婚のハードルがあがっている点です。ただでさえ年収自体はあがっていないのに、結婚できる年収だけがあがっているということになります。
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