東京の「出生率0.99」を騒ぐ人に欠けている視点 若者はお金がなく婚姻数の減少が加速していく

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また、同じく出生動向基本調査から、結婚継続期間にかかわらず49歳までに1人以上出産した母親だけを対象として、平均出生子ども数を計算すると、2021年時点で2.02人となります。

徐々に減少しているとはいえ、少なくとも結婚して1人以上の子を産んだ母親は、今でも平均して約2人は産んでいることになります。

少子化や低出生率の根本的な原因

合計特殊出生率をあげるにはふたつの方向があります。ひとつは、有配偶女性の出生率をあげること。もうひとつは未婚率を下げることです。

前者には、有配偶出生率という指標があります。これの長期推移を見ると、実は1990年から2015年にかけて有配偶出生率は右肩上がりに増加していました。

2015年の80.5という数字は、1970年代後半とあまり変わらないくらい、1人の有配偶女性の産む子どもの数は増えていたわけです。2020年に若干さがりましたが、それでも結婚した女性が産む子どもの数は1980年代と比べても見劣りしませんし、ここをこれ以上あげていくというのも限界があるでしょう。

後者の未婚率を下げることとは、婚姻数を増やすことと同義です。そもそも、東京の合計特殊出生率が低いのは、それだけ他道府県と比較して未婚率が高いということでもあります。事実、2020年の女性の生涯未婚率も東京がトップです。

つまり、少子化や低出生率の根本的な原因は、未婚化・婚姻減のほうであり、少子化対策として、夫婦に対して第3子促進などということを言う識者がいますが、それはそもそも的外れです。言われなくても十分夫婦は産んでいるのです。

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