「日本流の戸建て住宅」がアメリカで売れる理由 積水ハウスと住友林業・大和ハウスで戦略に違い

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北米産木材を日本に輸出してきた住友林業は環境規制の強化などを見通して、2003年から米国での住宅事業を開始した。これまでに現地企業5社を買収し、現在では16州で事業を展開。2023年12月期の引き渡し戸数は約1万200戸と、日本での販売戸数約8200戸を上回っている。現在は「2×4工法」をパネル化し、製造・配送・施工までを工業化したFITP事業に力を入れており、今年に入ってノースカロライナ州に6番目の工場が完成。2030年には年2万3000戸の供給を目指している。

【2024年7月9日16時00分追記】初出時、住友林業に関する記述に誤りがあったため上記のように修正いたしました。

大和ハウスでは2017年のスタンレー・マーチン社を最初に、3社を買収し、現在は12州で事業を展開。2023年度の戸建て住宅供給戸数は6568戸で、売上高は4721億円となっている。同社では3年後の2026年度に海外事業の売上高1兆円、うち米国事業で73%を目標としており、現状の3社体制で米国の供給戸数を1万戸超に引き上げる計画だ。今後は部材・住宅設備などの資材メーカーとの関係を強化し、グループ購買の取り組みでコスト削減を図る戦略だ。

米国市場に「シャーウッド」を投入する狙い

積水ハウスは、年1万戸弱を手掛けてきたMDC社の買収によって、米国での戸建て住宅の供給戸数は年約1万5000戸となった。2030年には年2万戸の供給体制を目指しているが、うち3000戸は「シャーウッド」を販売する計画だ。

住友林業、大和ハウス、旭化成ホームズも、米国では日本では手掛けていない「2×4工法」で戸建て住宅事業を展開してきた。2×4工法であれば資材も技能労働者も現地で容易に調達できるので参入障壁が低い。積水ハウスでも2×4工法をメーンに事業を展開していくが、日本のプレハブ技術を導入して進化させた「New 2×4工法」へと2030年までに切り替えていく。

では、米国市場に「シャーウッド」を投入する狙いは何か――。2×4工法は、日本でも1974年に「枠組壁工法」の名称で標準工法に認定され、一条工務店や三井ホームなどが採用している。壁や床などの「面」で建物の構造を支える工法で、従来の「軸組工法」と比べて高気密・高断熱を実現しやすいが、窓などの開口部を大きくしたり、間取りを大空間にしたりするのには適していない。

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