「日本流の戸建て住宅」がアメリカで売れる理由 積水ハウスと住友林業・大和ハウスで戦略に違い

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積水ハウスは、国内で3つの価格帯別に商品展開を行っており、米国でも高価格商品として「シャーウッド」を投入する。2×4工法では対応が難しい大開口・大空間を実現した高級住宅として需要が見込めると判断した。ただ、現地では「シャーウッド」を生産できる工場を確保できないので、当面は日本から資材を輸出して施工する。

クローズド工法の住宅がどう評価されるか

筆者が注目するのは「2×4工法」というオープン工法で形成されている米国市場で、メーカー独自のクローズド工法の住宅がどれぐらい売れるのかと言う点だ。先行する住友林業、大和ハウスなどでも挑戦したことがない取り組みだけに、積水ハウスとしても「米国戸建業界のゲームチェンジャーになる」との決意を表明したのだろう。

同社では、米国で技能労働者を育成して施工体制を整えるとともに、中古住宅市場に売却されたあとも維持管理・修繕サービスは積水ハウスが提供していく。中古市場が発達した米国で、修繕やリノベーションを行うのに制約が多いクローズド工法の住宅がどう評価されるのかは興味深いところだ。

日本ではプレハブ住宅が新設住宅着工全体の12%前後を占めているが、シェアは低下傾向にある。最近では日本のオープン工法である「軸組工法」を積水ハウス、大和ハウスでも手掛け始めており、むしろ工法のオープン化が進んでいる。

大手ハウスメーカーにとって戸建て住宅の主戦場は、縮小する国内市場ではなく、米国などの海外市場となりつつある。各社の戦略の違いが、3年後、6年後にどのような結果を生んでいるか。「シャーウッド」の米国投入が成功すれば、今後の海外戦略にも大きな影響を及ぼすだけに注目だ。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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