TSMC劉・前会長が語る「TSMCが次に目指すもの」 国際政治の荒波を乗り越え「世界のTSMC」になった秘訣

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例えば5月22日に進めた「Eco Plus!生態共存計画」では、台中工場付近の大肚山斜面で生態保護活動を行った。台湾の大部分の高山では国家的な保護プロジェクトが始動しているが、ある高度以下の斜面では十分な保護がなされているとは言えない。

同社では国の基準では保護しきれないところをカバーしようとするものだ。もっとも生物多様性の重視も、元はと言えば外国顧客からもたらされた考えによるものだったのだ。

「半導体エンジニアは、皆、おタクのような男だと思っているでしょう?(笑)」

 

劉は自身のエンジニアから董事長への華麗なる変身について、カギは教育にあると力を込めて語る。

劉自身、学生時代はサークルなどの校内活動でいつもリーダー的存在だった。カリフォルニア大バークレー校時代は学生会の会長、中学時代と台湾大学時代はクラス長を務め、学業以外の公共事業への熱意と関心を持ち続けてきたという。

「2018年に台湾大学で演説した際、学生らに、現状に満足することなく、世界をわが家とし、世界を基準に考えることを伝えました。世界に打って出るべきだ、と」

大胆な目標を掲げ、社員を鼓舞し続ける

TSMCは2019年に営業収入300億ドルを達成。そして2030年までに必ず1000億ドル以上の達成を目標に掲げている。

劉は大胆な目標を公にした理由として、ビジョンを明確にし、社員を鼓舞して現状に挑戦し続けるためだと語る。

はたして1000億ドルの目標は達成できるのか、結果はもう少し見ないとわからない。しかし、劉はTSMCの将来に自信を深めている。

「過去6年間、TSMCは年20%の成長を達成した。次の6年はきっとワクワクする結果を残すはずだ」

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